3-4 大人扱い

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「ふん、そういうのがガキだって言うのさ」  ナーレンダは鼻で笑い、サヴィトリの頬を押し潰すように掴んだ。唇がくちばしのようにとがる。 (前にもこんなことがあったような) 「お望みなら大人扱いしてあげるよ、サヴィトリ殿下」  ベッドが軋み、サヴィトリの身体に重さがかかる。  互いの呼吸がたやすく感じ取れる距離にナーレンダの顔があった。真下に向かって流れた空色の髪が、サヴィトリの頬に触れる。 「風邪は他人にうつすと早く治るっていうけど、試してみる?」  熱い指先が、サヴィトリの唇の中央をちょんっと押す。  ナーレンダの身体からお菓子のような甘い香りがした。
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