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「やめてください! わたくしはサヴィトリ様以外に踏まれる趣味はありません!」
「ナーレ、ものすごく頭がおかしいみたいだからカイのこと燃やして浄化してあげて」
「サヴィトリ様あああっ! イェル術士長は本当にやりかねないからダメですうううっ!」
ところどころ焦げたカイラシュは涙を浮かべてサヴィトリにすがりついた。
「どさくさに紛れて引っ付いてるんじゃあないよ。お前は何しに来たのさ」
ナーレンダはカイラシュを引きはがし、サヴィトリとの間に立った。
「そんなに怒らなくても。指輪を返しに来たわたくしの手が神の悪戯によって滑り、盛りのついたイェル術士長の後頭部にたまたまぶち当たる、という天文学的確率で起こった不幸な事故じゃないですか」
カイラシュはいじいじと両手を擦り合わせた。
「オーケー。とりあえず僕と敵対しようという意思は伝わった。本当に焼かれたくなければ可及的速やかに出ていけ」
ナーレンダの指先に青い炎が渦を巻きながら集まる。
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