3-5 それって迷信ですよ?

5/6
前へ
/175ページ
次へ
「本当は最初から『振り』をするつもりなどなかったのではありませんか? それとも『振り』にかこつけて、あれこれするおつもりでしょうか。昔から、建前がなければ行動できない、難儀(なんぎ)な性格をしていらっしゃいますものねえ」  カイラシュはせせら笑う。  ナーレンダも笑い返した。 「ふん、お前に僕の何がわかるっていうのさ。邪推もはなはだしい。僕に苦言を呈する前に、補佐官らしくわきまえたらどうなのさ、カイラシュ・アースラ。お前がどんなに望んだとしても、補佐官と王族は結ばれない。法を知らないわけではないだろう」 「わたくし、いつでも無職になる覚悟ができております」 「ヴィクラムより馬鹿だろお前」 「四則演算すらまともにできないアル中と比べられるなど心外です」
/175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加