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「ああ、なんだ。図体がでかいのがいると思ったらヴィクラムか」
ナーレンダの顔はゆで上げられたタコのように赤かった。おまけにごほごほとせき込んでいる。
どう見ても風邪だ。出歩かないでほしい。
「改めて言っておくけれど、二人きりだからといって、カイラシュみたいにあの子に変なことをするんじゃあないぞ。火葬の手間がいらなくなるようにしてやるからな」
具合が悪いと術の制御がきかなくなるのか、それとも単純に脅しとしてやっているのか、ナーレンダの周囲に鬼火のようにいくつもの青い炎が現れた。
保護者面しているこいつが、もっとも性質が悪い。鈍いと言われる俺ですら、ナーレンダが彼女にどんな感情をいだいているのかわかる。
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