第4章 4-1 絡まった糸(ヴィクラム視点)

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「補佐官殿は何かしたのか」 「さあね。あれこれあったらしいけど」 「お前は何もしなかったのか」 「なんで僕が?」 「風邪がうつるような粘膜接触でもしたのかと」 「はぁ!? 馬鹿にもほどがある! お前とはまともに話してらんないね!」  ナーレンダは頭から湯気を立ち昇らせ、どすどすと大きな足音を立てて去っていった。  否定しないということは、何かやった、あるいは、しようとしたのだろう。俺が知る中で、こいつが一番嘘とごまかしが下手だ。  怒らせる前に「たっけい」について聞いておけばよかったな。
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