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「ああ。変なこととはなんだろうな。具体的に言われなければわからん」
俺は出された料理に手を付けた。
生ハムの塩気と、柑橘の酸味と甘みがよく合う。香りも良い。肉と果物を一緒に食べる発想がなかったため新鮮だ。
「単純に手を出すなって話じゃないんですか。ようは二人とも失敗したんですよ。もしうまくいっていたなら、自分のサヴィトリに手を出すな! くらい言ってきますよ。あの二人、アプローチこそ真逆ですけど、独占欲が強くて嫉妬深いって根っこは同じですから」
まるで他人事のようだ。ジェイ殿は人当たりこそいいが、常に薄い膜を一枚隔てているような印象を受ける。
「面倒な男ばかり引き寄せたものだ」
俺はもう一度グラスに酒をついだ。ゆっくりと飲みながら、元凶である金髪緑眼の第一王女を思い浮かべる。
顔は可憐ではあるが、気性は野の獣のように荒い。初対面の時は、行き違いがあったとはいえ、問答無用で頭突きを食らい、昏倒させられた。俺が対人で意識を失ったのは、後にも先にもこれが初めてだ。
体型はまったくといっていいほど凹凸がなく、俺の好みからはかけ離れている。
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