32人が本棚に入れています
本棚に追加
言うが早いか、ジェイ殿は酒瓶を下げてしまった。
ジェイ殿にはしばしば反応速度で負ける。一度手合わせをしてみたいが、「俺は最弱ですから」と謙遜してなかなか応じない。
「仕方がない。また来る」
俺は酒と料理を平らげ、席を立つ。
元々長居をするつもりはなかった。明日からは俺のシフトだ。深酒をしてヘマをすることはないが、気を付けておくに越したことはない。
「サヴィトリに変なことしないでくださいね」
去り際に、今日三度目になる抽象的な忠告を受けた。他の二人が言っていたのと同じ意味だろうか。
「みな過保護だな」
思わずため息が出た。
ナーレンダの件だけではなく、全員がサヴィトリのことを気にかけすぎていることも、糸が絡まった一因であるような気がした。
「どいつもこいつも厄介だな、本当に」
俺は、再び痛み出した額を押さえた。
最初のコメントを投稿しよう!