4-2 東国の生物兵器

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「まさか、素直な感想ですよ。字面そのままに受け取ってください」  ヨイチはおおげさに肩をすくませた。飄々(ひょうひょう)としたところなど、どことなく養父に似ていて好感が持てる。 「釈然(しゃくぜん)としないけれど、わかった。ありがとう」  サヴィトリはため息をついてみせてから、あたりの様子を窺った。  木々が鬱蒼(うっそう)と生い茂っているため見通しは悪いが、もう狼の気配はないようだった。羅刹の隊士たちが死骸の処理をしている。 「それよりも、今日は駆り出してしまってすまない。五番隊は休みだったのだろう」  サヴィトリはヨイチに向かって頭を下げる。  今日はヴィクラムのシフトだが、羅刹三番隊の魔物討伐に同行していた。ヴィクラムが隊長を務める三番隊に急ぎの討伐要請が入ったためだ。元々、シフト時にすること・行く場所に決まりはない。  しかしカイラシュの意向で、五番隊の一部がサヴィトリの護衛につくことになってしまった。とにかくカイラシュは手回しが早い。
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