4-2 東国の生物兵器

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「いえいえ、俺らの休日なんて自堕落(じだらく)でろくでもないですから。補佐官様から破格の休日手当をもらえる上に、サヴィトリ殿下とヴィクラムのデートとかいう面白いもんを見物させてもらえるなんて光栄の極みですよ。なあ、お前らもそうだろ」  ヨイチが隊士たちを(あお)ると、拍手や指笛などが返ってきた。前身が傭兵部隊だったこともあり、羅刹の気風は自由で荒っぽい。王城のかしこまった雰囲気に慣れないサヴィトリとしては、こちらの方が居心地が良かった。 「ではサヴィトリ殿下、こっちは片付きましたし、熊と(たわむ)れている愛しのキリーク隊長の様子でも見に行きますか」  頭の後ろで両手を組み、ヨイチは悠々と歩きだした。他の隊士たちも物見遊山にでも行くように、無警戒で気楽に進んでいく。サヴィトリも含め、誰も心配などしていない。  国有林に大量発生した大型の狼の討伐が今回の目標だ。しかしそこに突如、巨大な熊のような魔物が乱入してきた。ヴィクラムは単独で巨熊を引き受け、森の奥へと消えてしまった。  ヨイチを先頭に、ヴィクラムと巨熊が消えていった方向に進んでいく。
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