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陽だまりは、思っていた以上に居心地がよかった。他愛もない話で笑い合ったり、一緒に遊んだりした。あいつらは、自分という存在を肯定してくれる仲間たちに変化していた。
しかし、ふと目をやると、日陰で耳を塞いでいる彼女が目に写った。その姿は、過去の自分と全く同じだった。
僕は、その度に彼女を助けようと思ったのだ。思ったけれど、陽だまりから出ようとすると、身体がヒリヒリして、すごく嫌な気持ちになる。これは、友情によるものだ。もう僕の体は友情に侵されていた。一歩も日陰に踏み入れさせてはくれない。決して、陽だまりでの関係が崩れるのが怖かったわけじゃない。友情という呪いのせいで、動き出せなかっただけなのだ。
だから、彼女が死んだのも、友情のせいなのだ。僕は何も悪くない。ただ、仲間たちと楽しく生活していただけだ。それが、僕の本来のあるべき姿だった。
しかし、結果的に彼女がいなければ、今の僕はいなかったかもしれない。最後まで人間で在り続けようとした彼女には感謝すべきだろう。
僕は墓場へと出向いた。そして、かつて人間だった物に向けて手を合わせるのだった。
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