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「ねえねえ、カンナちゃんってどこの席?」 「俺の向かいだよ。今いないみたいだけど、すぐ帰ってくると思うぞ」 「そっかぁ。んじゃ、カンナちゃんの席で待たせてもらうか」 そう呟いた同期はツカツカと後輩の席へ進む。高身長の彼女は姿勢よく、鼻歌交じりにあの子の椅子に腰を落とした。 「わっ!なにこれっ!?」 俺は伏せかけた目をふたたび上げた。驚き顔の同期が、目の前の巨大ディスプレイ越しにこっちを見ている。あれ?今って座ってるんだよな?なんで顔が丸見えなんだ? 「カンナちゃんの事務椅子、座面の高さが一番上になってるじゃんっ!これ、足が下につかないんじゃない?」 あ、そうか。レバーで一番上まで上げてたから、おでこまで見えてるんだな。じゃあ後輩もまた、俺の在不在はよく分かるってわけか。いやでも、なんで椅子にそんなことしてるんだ? 「俺のため?いや、まさかな」 苦笑いが漏れる。あの子が、俺のことが見たくて座面の高さを最大にしてるわけもないか。
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