3人が本棚に入れています
本棚に追加
南野が出勤して来た。
彼女の姿を見てドンは違和感があったが、気にしないようにした。
南野は昼休みに悲鳴をあげた。
「のびてきちゃった」
彼女のフィアンセの店長と何かしていて彼の脚でものびたのか? 彼は彼女を見なかった。だが流石にドンの足元に毛がのびてきた時には彼は南野の方を見た。
まさか。彼女の背中から毛がのびてきてそれは一本だったのが二本、三本とふえてきたのだ。
よく見ると彼女の背中から毛が何十本も生えてきて、さらによく見ると毛はブラウスから外に出ていた。
「助けて」南野は悲鳴をあげた。毛はどんどん生えてのびていた。
「どうした?」店長は笑い出した。
「笑いごとじゃないわよ」南野は怒っているようでもあった。
ドンは南野の姿を見てもしかしたら、と考えた。
南野のブラウスを破って、外に出てきた毛は鳥の羽というより、例えて言えば天使の羽のように見えた。
ブラウスが避けて南野は下着姿になった。慌ててドンは視線をそらしたが、それどころではないのだと彼女を助けようとした。
店長は南野の姿を見て絶句していたが、ドンはふられたからか余裕があった。
「もしかして天使?」ドンは言った。
「知らないわよ」南野はあせっているようだった。
「もしかして羽ばたくことはできるのじゃないの」
「助けてよ」
ドンは彼女がムダ毛の処理をしてきたと言ったのを思い出した。
南野は人間ではないのか? ドンは考えた。彼は南野は天使ではなくただのアヒルだと思った。
なぜか彼にはわかった。
最初のコメントを投稿しよう!