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乗り越えた先の未来 1
私、西園愛には、好きで好きでたまらない同じクラスの男子がいる。
その人の名前は、高橋碧。私の幼い頃からの幼馴染だ。
彼とは小、中、高が一緒で家も隣。これはもはや運命の赤い糸で結ばれているのでは⋯!
と思うほど、嬉しいことこの上ないのだ。
しかし何故、彼をこんなにも溺愛しているのか。
きっかけは、風邪を引いた時だった。その当時は熱があるのに気づいていなかった私は、視界がぼやける中、階段をフラフラしながら登っていた。
しかし、半分くらい登ったところでついに限界が来てしまったようで足を踏み外してしまったのだ。
「もう、この歳で死んじゃうのか⋯嫌だよ。」
もはや、夢か現実かの区別がつかない状態でそう呟いた。
怖くて目をつぶった時、何か暖かいものに私の体は受け止められたのだ。
恐る恐る目を開くと、そこには碧の姿があった。
「愛!大丈夫か!」
心配してずっと声を掛けてくれている彼の腕に、抱えられ私はお姫様抱っこをされていた。
ずっと、恋する相手は彼以外だと当たり前のように思っていたけれどそれは違ったようで⋯。
「好き⋯だよ、碧。」
朦朧とした意識の中、私は小声でそう囁いた。
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