2.オメガ搬送サービス side真白

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 彼女は水色のジャージのジッパーを開け、するりと肩を抜いた。  ジャージの下には水色のTシャツを着ていた。  Tシャツの胸元と白い腕と、ポニーテールにした長い髪と、全てがコマ送りみたいに視界の中を動いていった。  ジャージは俺の膝の上に置かれた。  女の子は、俺の身体を水色のジャージで隠すように覆ってくれた。 「リンちゃん、お見事でした。真白さんの自宅までの運転は私がやるわ」  俺の視界に、水色のジャージを着た人物がもうひとり入ってきた。こちらはショートカットの女。 「バカ。ふざけんな」  俺は、リンちゃん、の腕にしがみついた。  この手を放したら、俺はどうなるか分からない。切迫してた。 「リン」  リン、というのが彼女の名前らしかった。  日本人か外国人か? 紛らわしい名前しやがって。  リンはけげんそうに俺の顔をのぞきこんだ。 「リン。お前が俺を家まで連れて行け。他のやつはダメだ」
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