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シャツのボタンを外していく自分の指が黄色がかって見える。
そのくらい真白さんの肌は白かった。
透明な肌にルビーチョコレートみたいな胸の突起。
きっとアルファも、ベータの男の人でも、真白さんの肌に堕ちる。
触れたくて、たまらなくなるはず。
真白さんは、さっき吐いたときに、せっかく服用した抑制剤も吐いてしまったのかもしれない。
薬の成分はいくらか体内に吸収されたはずだけど。
真白さんの頬が朱色に染まっていて、白い胸が切なげに上下している。
「リン。苦しい」
思うように動けない真白さんの代わりに私がベルトに手をかける。
「真白さん。横になって。脚を揃えて向こう側に倒して下さい」
横向きに寝てもらい、くの字の姿勢をとってもらう。
介護士として働いていたときは、更衣の介助も行った。オムツ交換も身体の清拭も、もちろん行った。
仕事なのだと自分に言いきかせる。
真白さんのボトムスを下げたとき、青い匂いが漏れ出した。
フェロモンみたいな甘い熟れた香りではなくて、男の人の、白いものの匂い。
前に一度だけ。前に、付き合っていた彼が、私に、しようとしたから。
男の人がどんなふうに達するか、私は思い出して動揺する。
今さら気が付いた。
真白さんはオメガだけど、やっぱり男の人なんだ。
真白さんが動揺する。
「待て。リン。待てって!」
私には真白さんの後頭部と、ほの青い背中が見えていた。
真白さんは私のジャージを抱きしめたままだった。
彼は私のジャージを口に押し当てて、声を殺した。
あえぎ声を押し殺した。
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