4.ヒート side真白

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 彼女は手際がよかった。  よすぎるほどだ。  乾いたタオルが腰の下に差し入れられ、柔らかい濡れた感触が前側に触れた。  この手が好きだと思った。  小さすぎず大きすぎない、ふっくらとした手のひらが優しいと思った。  リンの手から飲む水は、今まで飲んだ何よりも美味しかった。  その手が自分に触れている。  オメガの身体の構造は何度も勉強させられた。  アルファと番になれるタイミング。  妊娠できるタイミング。  そのために何度も教え込まれる。  オメガの身体のどこに性感帯が分布しているか。どこを刺激すると感じやすいか。  前側から後ろ側へ、ふだん人の目には晒さない場所を、濡れた柔らかな感触が移動する。  女の子の手で拭き清められている。  撫でるようにされて、あまりの快感に喉の最奥が暴走を始める。  そこが感じるとは聞かされていた。  こんなに良いと知らなかった。  内臓が全部溶けてしまう。  俺の身体が作り替えられていくのが分かる。  出来損ないのオメガから、オメガに変わっていく。  彼女の手で塗り替えられていく。  けいれんみたいに前歯の間から息が漏れる。  彼女を蹴り飛ばしてしまわないように、走り出しそうな脚をなだめる。  リンに怪我をさせたらダメだ。  それ以上のことまでは意識が回らない。 「リン。こんなの、死ぬ」  だめ。よすぎる。温かくて、柔らかくて、優しく擦られる感覚がたまらない。  彼女が後ろのくぼみを丁寧に拭きあげるタイミングで、俺は乾いたタオルに前を擦りつけた。  そうせずにはいられなかった。
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