第1話 夫(つま)の脛毛に気が付いたせいで離婚の危機

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第1話 夫(つま)の脛毛に気が付いたせいで離婚の危機

(つま)の脛毛に気が付いてしまった。 それは結婚3周年の記念日。 仮面夫夫(ふうふ)どころか仮面すら被らせてもらえない。俺たちは完全に家庭内別居家庭外一応夫夫(ふうふ)だ。 それでも記念日系のある時だけは、こうして外食をとるようにしている。俺の家は格式だかく、そんな俺が婿入りしたさらに家が格式敷居気だかい(つま)。 だからこそ、家が勝手に予約するこの定例行事にも、世間体のために来てくれている。 だが今日は、(つま)の驚くべきことに気が付いてしまった。 それこそが、互いに干渉し合わず自然家庭内別居と至っていることにコレコレコレアカンアカンアカン完全に俺ザマァされて破滅離縁させられる状態だと気が付くほどに気が付いた。 つまりよくある前世の記憶を思い出したのだ。前世の記憶が蘇るだなんてものすごい衝撃だ。 俺の場合も、ものすごい衝撃を受けた。 なんと……なんと(つま)の脛には……脛毛が生えていたのである。 何故こんなシーンになったかと言うと、ここは和風異世界な世界観である。しかし和風椅子に腰掛けた際に、(つま)の草履の鼻緒が切れかけていた。 仕方がないので(つま)の草履の鼻緒を直してやろうとかかめば、その裾の上がった着物と足袋の間から垣間見えた……その脛毛に、俺は前世の記憶が蘇ってしまうほど、衝撃を受けた。 「……っ」 恐る恐る顔を上げれば、かあぁっと顔を赤らめる(つま)の顔がある。そんなに照れてしまって……俺の(つま)は最高にかわいい……!今まで冷遇してきた俺を殴り飛ばしたいくらいだ。 「(みどり)、君の脛毛に……カンパイ……!」 俺は今日を最高の婚約記念日にしようと決めた。 「……離縁してください」 「……何でっ!?」
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