第2話 夫(つま)の脛毛以外には興味がない

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第2話 夫(つま)の脛毛以外には興味がない

何故……何故離婚なんだ……っ!俺はせっかく(つま)への愛に目覚めたと言うのに……! 「ま、待ってくれ!俺は翠の脛毛を愛してるんだ!」 「……っ」 翠は俺の突然の告白に顔をかあぁっと赤らめている。 「……その、今まで……済まなかった。これからは君を、脛毛ごと愛そうと誓う」 「……うそ」 翠が悲しげに漏らす。確かに今までの冷遇を考えれば、無理もない。 「俺は君に信じてもらえるまで、君の脛毛への愛を叫ぶ!」 「……っ」 (つま)は何か言いたげな視線を俺に送ると、さっと身を翻してしまう。 「待って……!翠!」 翠を追いかけて店を出れば、俺に誰かが抱き付いてきたのだ。 「(あおい)!今日はどうしてボクとデートしてくれなかったの!?今日はとっても大事なイベントだったのに!」 俺にとっては(つま)との結婚記念日が何よりも大切だ。俺が(つま)への脛毛愛に目覚めた記念日だぞ!? 「悪い。俺たちもう終わりにしよう、(あかね)」 むしろ俺、(つま)がいながらこんなよくあるBLゲー破滅系ヒロイン少年と不倫していた……最低な夫である。 ざまぁ秒読みだったのである。 だからこれからは(つま)の脛毛だけを見て生きていくと……誓ったんだ……! 「どうしてそんなこと言うの!?蒼!ボクたち……あんなに愛し合ったのに!」 「知らん!俺は……ツルツルの脛毛になんて興味はないんだ!」 「え……?脛……っ」 戸惑う茜をよそに、俺は(つま)を抱き締める。 「今まで本当にごめん。だが俺は……っ、君の脛毛にしか興味がない!俺が愛するのは……君の脛毛けだぁ――――っ!」 「……離縁してください」 うぅ……っ、でもこれは不倫してた俺が悪い。
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