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さァ結婚しましょ
「さァ結婚しましょ!」
「な、な、なんですってェ?」
いきなりプロポーズされてもボクは返答できない。
香水だろうか、甘い匂いにボクの鼻孔は刺激され身体じゅうが痺れそうだ。
心臓がドキドキして全身が震えてきた。
「フフゥン、気に入ったわ。ポー、プロフィールの写真より可愛らしくて!」
ラブリはボクの耳元でささやいた。
「あ、あのォ、わ、渡瀬さん?」
確か彼女は渡瀬ラブリという名前だったはずだ。
唐突な出来ごとにボクはまったく対応できない。何しろボクは無類の人見知りだ。
「フフゥン、ダメよ。渡瀬さんなんて他人行儀じゃん」
「えェ、でもなんとお呼びすれば?」
良いのだろうか。
「ラブリって、お呼びなさい。ポー!」
彼女は楽しげに微笑んだ。
「あ、あのォ、ボクはポーじゃなくってアユムですよ。高原歩です!」
「良いのよ。ポーで。歩はだいたいポーって呼ぶことに決まってるの!」
「いやァ、別に決まってるワケじゃないでしょうけど……」
なんとも馴れ馴れしい彼女だ。
「ああァお腹減った。なにかある?」
ラブリはお腹を押さえて空腹をアピールした。
「え、お昼のですか?」
「ウン、ほらァ初めて彼氏の部屋へ行くから緊張して朝ごはんも3杯しか食べれなかったの」
「いやいやァ、朝からごはんを3杯食べれば充分でしょ」
その割にはかなり細身だ。
こんなスレンダーな身体のどこに入るんだろう。
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