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ラブリ
こんなスレンダーな身体のどこに入るのだろう。
「じゃァ遠慮なく上がらせて貰うわね」
ラブリはズカズカとボクの家へ入ってきた。
「あ、どうぞ、むさ苦しい家ですが……」
事前に彼女が来るとわかっていたら、もう少しちゃんと掃除をしておくんだった。
だが、どうせ古民家なので掃除しても変わりばえはしない。
「フフゥン、気にしないで。どんなゴミ屋敷でも快適に暮らせるよう特訓を積んてきたから」
ラブリは自慢げに二の腕に力こぶを作って見せた。
「はァ、どんな特訓ですか?」
「フフッ良い匂いねえェ。カレーかしら?」
キッチンへ入るとさっそくラブリはカレーの入った鍋のフタを開け、香りを楽しんでいた。
「あ、ハイ」
最近、ボクは趣味でカレー作りに凝っている。
市販のカレールーを使って独自に編み出したカレーだ。今日の出来はかなり絶品だ。
「私はカレーには目のないタイプの正義の味方なのよ」
すぐにガスコンロの火をつけてカレーを温め始めた。
「はァ、キレ○ジャーですか?」
だいたい食いしん坊キャラはキレ○ジャーの担当だ。
「そう、担当カラーはイエローなの。ピンクはすでに居たから、仕方なくイエローにしたのよ」
やはりピンクが良かったみたいだ。
「そ、そうなんですか。大変ですね。正義の味方も」
「決まってるでしょ。今、日本で一番ブラックな職業は、正義の味方なのよ!」
「え、そうなんですか?」
まったく知らなかった。
「悪の秘密結社は時間外労働をしないし福利厚生もしっかりしてるのよ」
「え、そうなんですか?」
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