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「ね、めっちゃかっこよくなったね!」
「竜崎くん、かっこいい!」
「ちょっと、今度遊ぼうよ!」
教室の片隅の席で、女の子の集団ができている一角。
「はは、ありがとう」
集団の中にいる彼は満更でもなさそうに微笑む。
「……ニヤニヤしちゃって」
あまりその光景をみたくなくて、教室を出てトイレに行くことにする。
「美愛」
「ひなた」
親友のひなたが教室から出るあたしを追ってくる。
「なんかすごいことなってんね」
「ね。新太がかっこいいのなんて前から知ってるよ」
竜崎新太はあたしの彼氏。
彼は、骨折をして1ヶ月間入院をしていたんだけど、その間になんと10センチも身長が伸びたのだ。
「寝る子は育つってやつなんかな?」なんて笑ってたのを思い出す。
久しぶりに学校にきた新太の高くなった身長、そして伸びた髪の毛がそのふたつが合わさって「竜崎くんってあんなにかっこよかったんだ!」となったみたい。
「今まで見向きもしてなかったのにね」
「新太はあたしだけの新太だったのに、なんだか遠くに行ってしまった気分」
別に遠くになんかいってないのは分かってる。
でも、ああやって女の子たちに囲まれたら目移りするんじゃないかって怖くなる。
あたしはどこからどうみても普通だし、あの中には学年の美少女的な女の子もいたし。
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