あたしだけの王子様

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「んと、ここをこうして……こうして……できた!」 家にあったけど、不器用なあたしには使いこなせてなくて、宝の持ち腐れになっていたコテ。 昨日の夜から少しでも不器用なりに練習して、今日の朝なんとか完成にこぎつけた。 「ふふ、新太びっくりするかな。可愛いって思ってくれるかな」 そんな新太のことを想像したらにやけてしまう。 想像だけで嬉しくなっちゃうなんて、ほんと新太のこと大好きなんだよな。 みんなは背が伸びて、髪の毛が伸びた新太をカッコイイって言うけどあたしは一生懸命野球をやってる姿に惹かれたんだ。 だから「美愛のことが好きなんだけど」って告白してくれたときすごく嬉しかった。 「それにしてもいつもより早起きしたから眠い……」 今にも寝てしまいそうだけど、寝れば新太との待ち合わせに遅刻しかねないし、それに髪の毛だって崩れちゃう。 「オシャレするのもなかなか大変なんだなー」といつも可愛くしてくる女の子たちは尊敬してしまう。 でもやっぱり、好きな人の目に映る自分は誰よりも可愛くありたいって思うもの。 そのためには早起きだって頑張れる。可愛くするには、努力だって必要なんだな。 「さて、新太に会いに行きますか」 家を出る時間が近づいてきたので、カバンを取って玄関へと向かう。
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