あたしだけの王子様

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「おはよ、美愛。あれ、今日髪の毛巻いてんだね」 あたしの髪の毛に触れる新太。 「今日は早起きできたから巻いちゃった」 なんて、巻くために早起きをしたんだけどね。 「いつも早いじゃん。自分で弁当作ってさ、えらいよな」 「お母さんいつも早いからしかたなくやってるだけだよ」 「いや、美愛は偉いってずっと思ってるよ」 「ふふ、ありがとう」 うちは母子家庭で、お母さんが朝早くから仕事にいくからお弁当を作る時間がない。 お弁当をつくるためにさらに早起きして、お母さんに倒れられても困るしあたしが自分で作ることにしたんだ。 「お、美愛ちゃん今日巻いてんのー?可愛いねぇ」 「早起きできたからね。ありがとう」 教室についてすぐ、女子のことが大好きでたまらないクラスメイトの新堀(しんぼり)くんに声をかけられる。 新堀くんは誰にでも可愛いって言うから信用ならないけどね。 新太には「可愛い」とは言われてないけど、あまりそういうことを口にするタイプではないし、巻いてることに気づいてくれただけで十分だよね。 新太からの「好き」とか「可愛い」は特別なときにだけ聞けるって思っているんだ。 そんな軽々しく言わない新太だから好きだし、それはそれでいい。
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