あたしだけの王子様

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「新太くーん、今日ちょっとメイクかえたんだよね。どう?可愛い?」 いつの間にか、新太くんと言われてることにすこしビックリするけど勝手に呼んでるだろうし気にしても仕方ないので、また今日も始まったとあまり聞きたくはないものなので、教室を出ようとドアに向かう。 「んー?可愛いんじゃない?」 ドアに手をかけたところで、そんな声が聞こえてきてその手が止まる。 あたしが特別な時にだけ聞けると思ってる「可愛い」って言葉を新太が口にした。 その瞬間、いままで我慢してきたものがあふれそうになって、慌てて教室から出て廊下を走る。 「廊下走るなー」って先生の声が聞こえてきたけど、そんなこと構ってられない。 「……嫌だ」 分かってるよ、あんなの社交辞令ってことくらい。 でも、あたしだって欲しいもん。 「可愛い」って言われたいもん。 そう思うのはなにもいけないことではないよね? なんで新太がかっこいいことをしられてしまったんだろう。 なんで新太の周りにはいつも女の子がいるんだろう。 どうして彼女はあたしだってみんな知ってるはずなのに、存在を無視するんだろう。 新太の周りに女の子が集まるようになってから、ずっと我慢してきたものが堰を切ったように溢れ出す。
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