ひかり

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ひかり

「結局、顔ってこと…?」 原作を読んでは目を閉じて、頭の中で映像化する。 「…笑顔だけで惚れられるって、どんな顔して笑ったんだよ」 ヒカルさんは原作のトウマと完全一致と言っても良いだろう。 見た目も、中身も、ヒカルさんの為にあるような役だと思う。 …じゃあ、オレは? 何かがあるからオレにケイをやらせてくれるんだろう。 ヒカルさんは、あまり近くに来てくれなくなった。 前は小さな事でも気に掛けてくれたのに、 やっぱり呆れられたのか、オレが相手では役不足だと痛感したのか。 嫌でも撮影は止められないって言ってたもんな。 生意気な事を言ったから嫌われたのか。 「でも好きになってもらわなきゃ」 原作を見ては目を瞑る。 「勝美くん、追い込まれてる?あんまり考え込む必要はないと思うけど?」 プロデューサーが隣に座ってそう言ってくれるけど、 「考えないと出来ないんです。ヒカルさんに好きになってもらわなきゃ話が進まないじゃないですか。前に生意気な事を言って嫌われたかもしれないんです。だから、早く取り返さないと」 ハハッと笑ったプロデューサーは 「ヒカルが勝美くんの事を嫌う訳ないじゃない。このドラマを受ける条件で君を指名したのはヒカルなんだから」 え? 「ヒカルさんが?…でもオレ初対面でしたよね?」 記憶を辿っても覚えが無い。あんなに綺麗な人、忘れるはずない。 「実際に会ったのは初めてだと思うけど、ヒカルは君を知ってたよ。君が載った雑誌を俺に見せて、この子をキャスティングしてくれって。じゃなきゃ受けられないって言われたんだから」 雑誌?確かに今回芝居の話を貰う前まではほぼ雑誌の仕事しかしてなかったけど。でもホントに小さな写真が載る程度だった。そんな記事を見て選んでくれたというのだろうか 「でもやっぱりイメージと違ったのかも。最近は全然近くにも来てくれないし」 あぁー、とプロデューサーは頷くと 「あんまり構わないようにって注意したんだよ。いや、初期はトウマの恋心は公になってないからさぁ。ケイからは疎ましく思われてるっていう設定だし。ヒカルが君の事を気に掛け過ぎてたからね。」 あんなにヒカルが君にベッタリになるとは思ってなかったからさ。ヒカルには不器用な秘めた初恋を演じてもらわなきゃだからね なんて言うプロデューサーの言葉に安心した 「嫌われたんじゃなかったんだ」 そう呟いたオレに 「そんな事あるはずないよ。キミはヒカルの光だからね。」 そう言ってプロデューサーは立ち上がった。 「キミはヒカルが選んだケイなんだから。楽しんで演じてごらん」
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