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こんな人間がこの世に存在するのか?
それが第一印象。
綺麗な白皙、少しグリーン掛かった大きな瞳、瞬きをしたらファサッと音がしそうな位びっしりと、そして長い睫毛。通った鼻筋にぷっくりとして少し口角の上がった赤い唇
彫刻のように長身で均整のとれた体つき
こんな綺麗な男がいるのか。
この芸能界のなかでも、この男のようにただただ美しいという単語が似合う者はいないんじゃないだろうか
この部屋に入って来た彼を見た時にすぐに思ったこと
「…天使みたいですね」
しくじった!
そう思ったときには遅かった。
オレの言葉を聞いたその美しい男は眉を寄せて冷たい視線を浴びせていた。
「ごめんなさいっ!天使っていうのは、あの、変な意味じゃなくてっ。美しいですねって意味で、あの…すいません」
「…別にいい」
プイッとそっぽを向かれてしまった。
これから共演する相手としてはイメージが悪くなったんじゃないかと焦る。
そんなオレの気持ちを分かってくれたのか、プロデューサーが間に入ってくれた。
「ヒカル、仲良くやってくれよ。これから長い付き合いになるんだからさ。
この子が相手役の勝美くんだよ」
そう。オレ勝美は今作ドラマデビューをする新人俳優。
対して、この天使もといヒカルさんはオレよりも7年早く役者として活動している先輩だ。
局イチオシとして、BLドラマを制作することになって、そこに抜擢されたのがオレとヒカルさん。
ヒカルさんはBL物にあまり乗り気ではなかったようだけど、ビッグプロジェクトという事で渋々受けたという話だ。
「ヒカルさん、よろしくお願いします。良いドラマを作れるように一生懸命頑張ります。」
ヒカルさんはオレの頭の先から足の先までジッと視線を巡らせて
「…身長俺より高いけど相手役、コイツで良いの?」
クソッ、オレも思ってたけどさ。
このドラマの原作のイメージには似ても似つかないことくらい。
それでもプロデューサーがオレでって推してくれたから頑張ろうと思ってたのに
「身長はっ!変える事は出来ないけど、撮影が始まるまでに役のイメージに近づけるんで待っててください!」
「…そう。」
もうオレには興味がないみたいにプロデューサーと話をしてるヒカルさん
なんか嫌な感じ。
ドラマでは恋人になるはずなのに。
しかも、オレがヒカルさんからずっと片想いをされる役のハズなのに。
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