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天国に帰り魂を確かめた。大分色は薄くなっているがまだ少し濁っている。次こそは! と私と片割れは綿密な計画を立て生まれ変わった。
そんな事を何回繰り返しただろう。飽きもせず「次はもっと良い人生を!」と情熱を燃やし転生を繰り返した。人生を終えるたび後悔ややり残した事が必ずあった。それを解消するために私たちは再度生まれ変わった。
そして遂に……!
「見て! 魂がガラスよりも透明! ダイヤよりも輝いてる!」
「うん、美しいね」
「これって……私たちとうとう達成できたって事?」
その時だった。私たちの目の前にふわふわの雲でできた階段が現れた。
「ここが天国だと思っていたけど、もっと上があったのね」
「そうみたいだね」
私たちは手を取り合い階段を上った。ふわふわなのに足はめり込まない。違う。私たちは浮いているのだ。それに気づいた私たちは階段の上の方を見上げた。光り輝いていて何があるのか分からない。でも「行きたい」と願った瞬間、私たちの体は上昇し始めた。そしてゆっくりと、その光に飲み込まれた。何とも心地よく、この上ない幸福を感じる。これが本当の天国だったのだ。
何もしなくても楽しい。嬉しい。いつでも快適。お腹が空く事はないが、何か食べたいと思い浮かべれば口中にその味が広がる。歌が聞きたいと思えば自分好みの曲がちょうど良い音量で聞こえてくる。
人間界の事を思い出し、様子を見たいと思うとちゃんと見られた。「一人前の看護師になりたい」と願う新人ナースの声が聞こえると、飛んで行って励ます事もできた。まあ向こうは私には気づいていないけど。でも私が頭をひと撫ですると、落ち込んでいた新人ナースもキリッとした目つきに変わり患者さんの元へと走って行った。どうやら私はナースの守護神になったようだ。これこそが私の人生の目的だったのだ。全てのナースを守護し導く。それが私の使命だったのだ。
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