凶漢叛徒

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「……そうですか、それは是非、協力させてください」 「よろしいのですか? ありがとうございます」 火口までは、このロロカロ村から約半日ほどで登頂できるそうだ。 「では、お昼を食べてから出発なさいますかな?」 「ええ、是非」 一度、村長の屋敷で昼食をとる。 そして、午後すぐに案内役の人とふたりで山を登ることになった。 武器は短剣1本だけ所持する。 それというのも、このゲイドル火山には魔物は現れないと言われたため。 彼らからしたら神聖な山。 あまり武器は持ち込んでほしくないというのが本音なんだろう。 さすがに幅広剣(ブロードソード)を持っていくのは憚れた。 短剣くらいならいくらでも言い訳が立つ。 万が一……村人が急に牙を剥いたとしても問題ない。 その自信の元は案内人の男の強さにある。 火山の制御者も戦闘職ではないだろうから、短剣1本で十分事足りる。 なぜそこまで言い切れるのかというと、相手のことが視えている(・・・・・)から。 ─────────────── コヨエパ 才能:凡 レベル:3 武力:9 統率:─ 知力:5 政務:─ 魔力:─ 神聖力:─ ─────────────── これが同行者の「ステータス」。 数値化(ニューメリカル)という能力を授かったお陰。 これで相手の強さの指標となる数値を見ることができる。 ちなみに今日現在の自分のステータスはというと。 ─────────────── サオン 才能:凡 レベル:18 武力:28 統率:18 知力:21 政務:─ 魔力:─ 神聖力:─ 能力:再演(ループ)    数値化(ニューメリカル) ─────────────── このように自分の視界に半透明な板が浮かんでいる。 自分のステータスは普段、頭の真上にある。 手で触れることができるので、見たい時に下げている。 もうひとつの再演(ループ)が例の死に戻りの能力。 ちなみに才能の横に「凡」と書かれているが、他にもある。 ステータス表の説明欄に不<凡<佳<良<優<傑<稀と書かれている。 これは右に行くほど才能があるということらしい。 例えば、ジェイドは「佳」という才能だと表記されている。 レベルは12だが、自分と比べるとステータスの伸びが高い。 夕方には、山頂へ着いた。 火口は岩肌が広がっていて、窪んだ形をしている。 噂に聞いていた赤い炎の池は見当たらない。 やはり火山自体が眠らされているということか? 円形の窪みを覆うように無数の極細の吊り橋がみえる。 中央に向かって架かっている吊り橋の中央にちいさな小屋がある。 「あそこには鎮焔の巫女様がいらっしゃいます」 鎮焔の巫女……その人物が、今回の標的。
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