凶漢叛徒

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3人は昼食の後に一服盛られたのか? 案内人と山頂へ向かって登頂した後。 すぐに3人は飲食のどちらかに仕込まれたんだと思う。 村人は全部で50~70人ほどいる。 村には年寄りが多い。 だが、戦えそうな人間は少なく見積もっても30人くらいはいる。 一方、こちらは4人しかいない。 その内、近接戦闘をこなせるのは自分のみ。 まともに戦っては勝ち目はない。 まずは情報収集をしなければ。 朝から昼までの間、村を見て回りたいと申し出たら許可された。 他の3人に何も知らせてないので、村の手伝いをしている。 だけど自分は1度生贄に捧げられた身。 村の本質を知ってしまったので、そのまま時間を費やす訳にはいかない。 昼までウロウロしたが、特に目ぼしい収穫はなかった。 やむなく3人に話し、村から逃げることを説明した。 3人の承諾を得て行動に移す。 急に帝都へ帰ることになったと村長に挨拶をする。 すると、いつの間にか武器を手にした村人たちに囲まれた。 274回目。 前回は結局、村人に囲まれて命を落とした。 彼らは客人を確実に生贄にするつもりのようだ。 村を出ると言い出した途端、襲ってくるのもわかった。 何気に武器を村長の家に置いておくよう勧められていたことにも気づいた。 他にも食事の時以外は、一か所に固まらないように工夫されている。 朝食の間に小声で3人に事情を話す。 その後、村長と彼の家族を襲った。 任務の一環だと説明はしておいた。 だが、3人は自分が狂ったかも? と見えたかもしれない。 だけど、すぐにわかったはずだ。 この村が異常だということを……。 目の血走った村人たちに村長の屋敷を包囲された。 籠城戦。 建物を有効に活用できれば、勝機が見えるはず。 屋敷を砦化し、侵入経路を一か所に絞る。 ポメラの魔法やセレの強化魔法の甲斐もあって健闘した。 だが、屋敷に火を放たれ、炎に巻かれてしまった。 275回目が始まったが、真っ向から戦うのを諦めた。 「何をしているんですか?」 ──見つけた。 281回目まで午前中を目いっぱい使って村中を探し回った。 だけど、盲点だった。 まさか、村長の屋敷にあるなんて……。 ちなみに常に村人の誰かが自分を見張っている。 村長の屋敷の中にいる間は村長の息子が近くにいた。 20代前半くらいで、家の中なので、さすがに武器は持ってない。 仲間も含めて今、この家には自分と村長の息子の二人きり。 大声を出される前に殴って気絶させた。 すばやく目的のものを倉庫から取り出す。 すぐにそれを村長の息子に試してみると当たりだった。 だが、村長の息子を気絶させたのが、他の村人にばれてしまった。 結局、戦う羽目になったが、やはり敵わなかった。 282回目は、すばやく行動に移した。 朝、目覚めると同時にこっそり目的の物を倉庫から持ち出す。 それを井戸に器ごと沈めた。 朝食が終わって、各自、それぞれバラバラに村の手伝いをする。 今回は山へ登りたいという話を村長に伝えなかった。 代わりに村長の畑を手伝っている間に昼になる。 「私の家の教えでして、昼は飲まず食わずという習慣なんです」 昼食を勧められたが、嘘をついて、断った。 もちろん他の3人にも事前に伝えてあったので、口にしなかった。 しばらくすると、村長の屋敷の別の部屋からうめき声が聞こえた。 ──眠り薬。 いちばん最初にこの薬を飲まされてしまった。 だから、今度はこちらの番。 おそらく昼食をとった村人全員が今ごろ睡魔に抗っているはず。 井戸の水を飲むなり、料理に使った水には眠り薬が入っている。 朝、瓶ごと井戸の中に沈めておいたので、効果は絶大だと思う。 3人に事情を話し、すばやく準備して入山した。 道はすでに知っている。 案内人について行ったので、多少の分岐路があったが大丈夫だった。 ロロカロ村の住人が目覚めて追いかけるにしてもこちらが先行している。 6時間後に火口へ辿り着いて、吊り橋を躊躇なく渡る。
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