戦火再演

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「あれが海賊たちが住処にしている『骸骨島』です」 「どこが骸骨アルか?」 「ここから裏へ回って見て頂いた方が早いかと……」 メイメイの問いにトネルダ隊長が言葉を濁す。 見た方が早いってどういう意味なんだろう? 外海用の大型船に乗って、環礁の間にある礁溝部から島を眺める。 木が生い茂っており、中央に岩山がある。 一見何の変哲もない島にしかみえない。 そこから礁溝部を抜けて島の裏に回った。 そこで骸骨島と呼ばれている理由がわかった。 島の裏側は急峻な岩でできた崖になっていた。 そして、崖には三つの穴が開いている。 その穴が骸骨の両目と口にみえることから骸骨島。 巨大な口が、船で入って行ける洞窟になっている。 まるで船ごと飲み込んでしまうかのように……。 さっそく海賊船を見つけた。 洞窟の入ってすぐ左岸に停泊しており、見張りも誰もいない。 トネルダ隊長が言うには洞窟の中は、輪っかの形をしている。 潮は左側から奥へ流れており、潮の流れに任せて左側に船を進める。 ぐるりと1周できるのだそう。 海賊船の停泊している奥側へ船を接岸させようと船の動きが緩慢になる。 「おかしいアル……」 メイメイが腕を組み、顎に手をやり、何やら考え込んでいる。 「メイなら輪っかの奥、洞窟の外から見えないところに停泊させるアル」 メイメイの考えは正しかった。 答えを知ったと同時に手遅れだと思い知らされた。 洞窟の入口から死角になっていた奥の方。 そこに巨大な鉄に似た筒をこちらに向けた謎の船が姿を見せた。 赤い光と轟音が肌を焼き、鼓膜を破った。 遅れて、焼き焦げた煙の臭いが漂ってくる。 目をやられてしまい、真っ黒で何も見えない。 足を踏み外し、海中へ落ちた。 水面へ上がろうともがいた時に気が付いた。 自分の腕が両方とも無い(・・・・・・)……。 鎖帷子を着込んでいたせいで、身体がどんどん沈んでいき、意識を失った。
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