正敵邪正

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正敵邪正

なぜ笑っている? なにがそんなに楽しい? 殺し合いの中で、どんな喜びを見出せるというのか……。 カルテア王女のところへ敵兵が3人向かった。 でも、ダンヴィル指揮官補佐が傍に控えている。 エンドリ3兄弟に王女の方へ救援に行くよう指示した。 笑っている兵士は3人でひとりを相手にするよう伝える。 3人であれば、油断さえしなければきっと勝てるはず。 それに敵が2人ならダンヴィル補佐官であれば十分に渡り合える。 自分はそこには行かない。 やることが他にある……。 本陣を守るキサ王国兵は精鋭の集まり。 だが、次々に倒されている。 目の前の笑っている男たちが、あまりにも強すぎる……。 自分も笑う兵達を倒していく。 自軍の兵が狩られる前に狩り尽くす。 いかに笑う兵達と言えど、地下迷宮最下層を攻略した自分には及ばない。 激戦に次ぐ激戦が続いた。 本陣の兵が、残り10名となったところで、笑う兵をすべて倒した。 危なかった……。 あと数十秒、倒すのが遅かったら逆にこちらが全員やられていた。 それほど僅差の戦いだったと思う。 中央軍の片方が、右翼本陣を追い抜き、帝国軍と衝突する。 その勢いは凄まじく劣勢だった右翼側が一気に息を吹き返した。 「サオン小隊と合流します!」 カルテア王女が、中央軍の動きを見てそう決断した。 本陣は今、限りなく手薄で、とても危うい状態。 ダンヴィル指揮官補佐が王女を庇って、深手の傷を負った。 本陣にいた魔法使いも聖職者も全員やられてしまった。 現時点では、サオン小隊に合流するのが、最良の選択と言える。 後退はとても目立つので、危険性が高い。 だが、このままではダンヴィル指揮官補佐が手遅れになってしまう。 指揮官補佐を自分が背負って、川の近くまで後退する。 エンドリ3兄弟に負傷兵の運搬を頼もうと振り返る。 ミカしか残っていない。 シカとルカは笑う兵にやられてしまったようだ……。
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