Reject

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「こんな所で生きていやがったのか!あの爆発で死なねぇとは、こりゃいい性能じゃねぇか。」 「褒めて頂いたのは嬉しいのですが、そんな目的で作られた製品ではないのですよ。これは臓器移植を望まれた方に、脳死状態の身体を安全にお運びする、言わば特注の棺桶のような物です。使い方を間違えないで頂けませんと、お売りする事は出来かねます。」 「まぁまぁ、そう言いなさんな。使い道は、広がれば売れゆきも倍増するじゃないか。悪い話しじゃ無いだろう?」 「人身売買や違法薬物などを運ぶ用途ではありませんよ。この『桃源郷』を、愚弄するおつもりですか。私達を敵に回すということですね?」 テロの報道の後、社員が死亡した知らせを受け直ぐに『桃源郷』本部から責任者が日本に来て調査を開始していた。 爆発物のそばで奇跡的にも生存者がいて、その生命を救ったのが『桃源郷』の開発した、この生命維持装置付きのケースだった。 奇しくもその性能の高さがそれで証明され、テロに遭った中国企業からの紹介でマフィアもどきが受注を望んできたという訳だ。 桃源郷の支配人は、そんなマフィアなど屑を蹴るかの如く一蹴するとその場を立ち去った。 残された相手は、桃源郷を敵に回してはなりませんという紹介者の忠告が、その時初めて理解出来たのだった。 支配人の男が身につける威圧感は、今まで味わったことの無い恐怖を刻み込むには十分すぎるものだったからだ。 その(すじ)のものだけが分かる、血の匂い。支配人は、地獄を見てきた男だろう。
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