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「我が社の社員は、爆弾犯を庇って死んだということで間違いないんですね。」
桃源郷支配人は、病院内のオフィスで黒岩警視正と二人で話しをしていた。二人とも背が高く、威圧感のある独特の鋭い殺気を放ちながら珈琲を口にしていた。
「という事になるな。」
「では何故彼女は、爆発物の傍にいたのですか?偶然とは思えないのですが。それに、そんな現場でパニックにならず、冷静すぎる対応ができている。彼女は何者なんですか?」
「おたくの方が知っているでしょう。貴方の所の社員なのですから。それとも警察のスパイだとでも?言っておきますが、日本警察には自分から死にに行くような馬鹿はいない。ましてや、犯人を庇って死ぬなどマヌケにも程がある。」
「そうですか…わかりました。彼女は優秀な社員でした。身寄りが無いようなので、私達がきちんと弔うことにします。」
「そういうお前達は、何かやましい事があるのか?スパイを疑うような事をやってるということか。」
「産業スパイなど、いくらでもいますよ。私達ほど巨大な組織となればね。」
「なら次に狙われるのは、お前達の所だな。」
「ご冗談を。」
「冗談?」
「私達を狙ったら、世界大戦になりますから。」
「御免だなそれは。」
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