EP-11

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EP-11

「将司さん……」 どこか遠くで自分の声が聞こえたと思った次の瞬間、私の口の中で何かが絡みつくようにうごめいているのに気がついた。 「……ん……っ……」 背中に回された力強い感触と、自分の下腹部の内側を圧迫するような違和感に、私の頭はようやく目覚め始めた。 な、に……? 霞がかかったままの頭で、自分が置かれている今の状況を把握しようとする。しかしすぐにそれを押しのけるように、うずくような、突き上げられるような、経験したことのある感覚が全身に広がった。ぼんやりとしたまま目を開けた時に、体のずっと奥深くに何かが到達したのを感じて声がもれた。 「あ……っつ」 同時に状況を悟った。私は自分の体が受け止めている快感に抗うように、重い瞼を引き上げて目を開けた。 将司ではない。だって彼とは別れたのだから。それじゃあ、誰と――。 そこにはあったのは、よく知る男の顔。彼は満足そうに私を見下ろしていた。 「りょ、諒ちゃんっ……。私、どうして……」 身をよじって離れようとした私は、今自分が諒と繋がっていることに気づき愕然とした。 私の表情に気づき、彼はにっと笑う。 「お前がしがみついてきて離さなかったんだよ。あぁまでされたら、我慢できるわけないじゃないか。これはその結果だよ」 「今すぐ離れてよ!」 しかし、諒はくすっと笑う。
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