EP-12

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「お前は今日、彼氏だった男と別れたんだよな?」 「そう、だね。まったくの想定外だったけど」 私は自嘲気味に答える。 「だったら、今夜の俺とのことは浮気したことにはならないよな」 諒に言われて私は少しだけ考えた。 「……そう、なるのかしらね」 私は口ごもりながら答える。彼との生々しい記憶が急に思い出されて、改めて恥ずかしさでいっぱいになった。 「それなら、お前を彼女にしたって構わないよな?」 私は息を飲み、眉根を寄せた。 「彼女って……。何を突然言い出すの?だって諒ちゃんは」 「どうせ、幼馴染だから、とか言うんだろ」 「そうよ。諒ちゃんは私にとって、お兄ちゃんみたいな人だもの。それが彼女だなんて」 そう思っていたし、思っている。それなのに、その人と体を重ねてしまった――。 私はまた唇を噛んだ。 諒は私の唇に優しく触れながら言った。 「期間限定でいいから、俺の恋人役、やってくれないか」 「恋人、役?」 私は目を見開いた。 「何なの、それ。よくもまぁ、そんなばかばかしいことを考えつくわね。どうかしてる」 諒は苦笑して言った。 「今また、女の人に付きまとわれかけていて困ってるんだよ」 私は体を起こして諒を見た。 「例えば、昔のあの人のような?」 「そう」 「どういうこと?」
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