EP-13

4/6
前へ
/170ページ
次へ
「やだっ……」 身体を隠すものをなくした私は、身じろぎして脚をぎゅっと閉じた。 その間を割って、諒の手が私の敏感な場所を探って動く。 「つっ……」 「こんなお前、俺だけのものにしておきたい」 「やめて……」 抵抗の言葉を口にするが、力が入らない。 「なぁ、恋人役、ほんとにやってくれないのか」 私の首に、胸に、時折舌を這わせながら、諒は言う。 「だからそれは……」 「その方が元カレのこと、早く忘れられるんじゃないのか」 「そんなこと……」 「寂しいって思う時には俺がいてやるからさ」 熱をはらんだ諒の声が耳朶を打つ。 「そんな、諒ちゃんを利用するようなことは……」 「俺は、瑞月にならどんなに利用されたって構わない。それでも、うん、って言ってくれないのか?」 「言わない」 そんな私にしびれを切らしたかのように、諒の指が淫らに動く。 「あ、んっ……やらないったらやらない」 「俺は瑞月に頼みたい。瑞月がいい」 「やらないってば!」 「俺をその気にさせて結果的にこんな風にしたのは、お前の方だよな。恋人役を引き受けてくれたら、今回のことは許してやるからさ」 「だ、だから、それは不可抗力で……あっ……」 諒の言葉に反論し、抗おうとする度に、諒の手が私の敏感な部分を攻める。 「それに、泥酔したお前の世話を焼いてやった恩を忘れるっていうのか?」 「それはものすごく感謝してる。だけど、それとこれとは別で……っ……んっ…」 「瑞月のここ、もう待ってるじゃないか」 「やだっ……あぁ……」 まだ酔いが残っているせいなのか、それとも口では憎らしいことを言いながらも、私に触れる諒の手がひどく優しいからなのか。次第に私の口からは甘い吐息以外、声も言葉も出なくなっていった。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1049人が本棚に入れています
本棚に追加