EP-諒✽4

4/8
前へ
/170ページ
次へ
「ここに来た時にはもう、どこかで飲んできたみたいで、酔っぱらっていたのよ。電話でちらっと言ったけど、彼氏とダメになってやけ酒ってとこなんじゃないかしら。でもほんと、変なのにふらふら着いて行かなくて良かった。瑞月ちゃんが来た時は、まだ開店したばかりで暇だったから良かったんだけど、そろそろお客さんが入り出す時間だから、どうしたものかと困ってたの。瑞月ちゃんがこんな状態になるのを見たのは初めてで、心配は心配なんだけど、お店を閉めるわけにもいかないし。かと言って、わたしの部屋に連れて帰ると言っても、同居人がいるからねぇ。栞ちゃんもつかまらなかったから、諒に電話したわけ。ねぇ、なんとかして連れて帰ってやってよ」 「なんとかって……」 この状態の瑞月を連れて帰るのはひと苦労だな、と思って俺は顔をしかめた。その時、目の端で捉えていた瑞月が急にテーブルの上に突っ伏した。 「おい、ついに潰れたみたいなんだけど」 「あらあらあら……」 凜も苦笑している。 「車で来てるんでしょ?」 俺はため息をついた。 「まったく仕方ないなぁ……」 「お願いできるわよね?」 「あぁ、分かったよ。……それじゃあ、連れてくから」 「ほら、瑞月ちゃん、帰るわよ。諒が送ってくれるって」 凛が瑞月に声をかけたが、反応はない。 「寝たってか」 「そのようね」
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1055人が本棚に入れています
本棚に追加