EP-14

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凛の表情が固まった。二、三回瞬きしたかと思ったら、こめかみの辺りを抑えながら聞き返す。 「ちょっと待って。今、なんて言ったの?彼女の、フリ?」 凛はその後も何度か瞬きを繰り返したが、呆れた顔をすると深くて長いため息を吐き出した。 「……あの人は、いったい何を考えているのかしら。まったくもう……。どこまでこじらせるつもりなの?」 「何をこじらせるって?」 「うぅん、こっちの話よ」 私の問いかけをさらりと流してからも、凜はぶつぶつと意味深な言葉を並べる。 「こういうことは他人が口を出すと、もっとややこしくなるものね。もう、私は黙って見守ることにしましょ。それに物事っていうのは、どのみちなるようにしかならないと思うからね」 話を飲み込めないでいる私に、凜は微笑んだ。 「瑞月ちゃんはそのままでいいってこと」 「はぁ……?」 「今度は諒と一緒にいらっしゃい。たっぷりとからかってあげるから」 凜は何やら含みのある顔で、ふふっと笑う。 「さて、そろそろお店を開ける時間だわ。瑞月ちゃん、どうする?飲んでく?……と言っても、今日はウーロン茶しか出してあげないけど」 からかうように言われて私は赤面した。 「いえ、今日は大人しくもう帰ります……」 「そうしなさい」 くすくすと笑う凜に見送られて店を出た私は、寄り道をせずにまっすぐ帰路についた。
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