EP-15

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「俺の顔に何かついてる?」 「な、なんでもない」 「ふぅん?」 諒が何か言いたそうな顔で私を見たが、あえて気づかないふりをする。 洗面所を借りると言って、諒はしっかり手を洗ってきてからテーブルに着いた。 「チャーハン?瑞月の飯、何年ぶりかな」 しみじみとした顔でスプーンを持つと、時折箸に持ち替えながら、諒は嬉しそうな顔で食事を平らげて行く。 それを眺めていたら学生時代のことが思い出されて、ふと懐かしくなった。 またあんな風に過ごせる日が来たら楽しいだろうな――。 「ご馳走さまでした」 諒の声に我に返る。 食べ終えた諒は、満足そうな顔をして両手を合わせていた。 「瑞月の飯、やっぱりうまい。ほんと、久しぶりだったもんなぁ。腹減った、って言ってみて良かった」 私はあえて薄めにしたお茶を諒の前に置いてから訊ねた。 「でも、急にどうして?」 この前のことに縛られているのは私だけで、諒の方はまったく気にしていないだろうか。だから、ご飯を食べさせてだなんて、能天気な電話をかけてよこしたのか――? そんなもやもやした感情が広がる。 諒はお茶を一口飲んでから、私の疑問に答えた。 「早速瑞月に彼女のふりをしてもらったんだよ」 「あれ、本気だったの?」 「冗談だと思ってた?」 「だって……」 諒は小さく笑みを浮かべて続ける。 「まぁ、いい。あの電話は、例の人に見せつけるためだったんだ」 そう言うと、諒は疲れたような顔で苦笑した。
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