EP-16

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「どうして、いるの……」 私は後ずさった。 「話をしたくて待ってたんだ」 将司が一歩近づく。 「だからって、待ち伏せなんて……」 「仕方ないじゃないか。話をしたくても、君は取りつく島がなかった。頼むよ、少しだけ時間をくれ。部屋に上げてくれとは言わない。ここでいいから、話を聞いてくれないか」 「もう言ったはずです。あなたとやり直すつもりはないって」 私は将司から逃げるように、エントランスに入った。階段を駆け上ろうとするが、追ってきた将司に捕まってしまった。彼に引きずられるようにして外へと連れ戻された。 「やめて、離して。私の方にはもう話すことはないんだから」 将司は植え込みの影まで私を引っ張って行くと、そこで足を止めた。私の両方の肩を掴みながら言う。 「本当にもう浮気は二度としない。彼女ともちゃんと別れたんだ。お願いだ、もう一度チャンスをくれよ」 「それは無理だって言ったでしょ。あなたと元に戻るつもりはこれっぽっちもない」 「そんなこと言わないで、考え直してくれよ」 こんな人だったかしら……。好きになった彼はもっとこう、大人だと思ったのだけど。 哀願する将司を見て、私は悲しい気持ちになっていた。 「ねぇ、どうしてそんなに私にこだわるの?」 「どうしてって……。お前が好きだからに決まってるだろ」 「本当にそうなのかしら?それなら、どうして浮気したの?」 「それはだから、つい……」
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