EP-16

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どんなに話をしたところで、彼は納得しそうにないし、私の気持ちが変わることもない。不毛な会話に飽き飽きして、私は一方的に話を終わらせようとした。 「とにかく、やり直す気はありません。離して」 毅然とそう言って将司の手から逃げようとした時、私の電話が鳴った。 その音を聞いて、私の肩を掴む将司の手に力が入った。 「痛いっ」 私の声を無視して彼は言う。 「まさかお前、もう付き合ってる男がいたりするのか」 「いないわよ」 「でも、俺と別れてすぐのお前は、たまたま遠目に見えただけでも、沈んだ顔をしているどころかむしろまた一段と綺麗になってた。だから、もうそういう相手ができたのかと……」 「仮にそうだとしても、今の私はあなたの彼女ではないんです。だから、私が誰とどうなったとしても、あなたには関係ないでしょう?」 「だけど俺は、別れることに同意してはいない」 「同意って……。結婚してたわけじゃないんだから、同意も何もないでしょ。私はもう、あなたのことが好きではないの」 「やっぱり、他に好きなやつができたんだろ」 「だから、どうしてそうなるのよ」 そう反論しながら、諒の顔が頭に浮かんで私はどきりとした。 将司は私の一瞬の間に気づいて、追及してくる。 「やっぱり、そういう男ができたんだな」 「そんなんじゃないわ」 否定の言葉を口にする私の目を、将司が覗き込む。
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