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「心配してくれてるのか?」
「心配というか……。本当は家でゆっくりしたかったんじゃないのかな、って。それなのに、こんな風に私につき合っていて大丈夫なのかな、って思ったから」
諒はくすりと笑った。
「そう思ったら、食事に行こうなんてメッセージ、送らないよ。それにあんなことがあった後のお前を、一人になんてしておけない。そもそも俺がこうしたくてしてるだけだから、気にしなくていい」
確かに、あの時も今も、諒が傍にいてくれて良かったと思っている。彼の隣はずっとそばにいたいくらい安心できる場所だから。けれどその優しさは幼馴染ゆえのものかもしれないし、元カレにあんなことを言ってはいたが諒の本心は分からない。だから彼の優しさに甘えたくなるけれど、それを制する自分がいる。そしてふと冷静に考えてしまう。彼の将来のことを思った時、今の諒に私にかかずらっている時間などあるのだろうか――。
とりとめのない思いを巡らせた末に、気づいた時には私の口は勝手に動いていた。
「気にしなくていいと言われても、やっぱり気になっちゃうのよね。例えば、恋人役のこともそうだけど、私とこうやって無駄な時間を過ごしていないで、将来のことを考えてお相手を探した方が、お互いにいいんじゃないのかな、って」
息を飲むような一瞬の間を空けた後、諒はひどく低い声で私に訊き返した。
「瑞月といる時間が無駄……?『お互いに』っていうのは、俺とこうやって過ごすのは、瑞月にとっても無駄な時間だってことを言いたいのか?俺と一緒にいるのは、やっぱり嫌だってこと?」
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