EP-18

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EP-18

このまま彼の口づけに絡め取られてもいい――。 一瞬そんな思いが頭の中をかすめたのは事実。けれど冷静な部分はちゃんと残っている。 私は諒から目を逸らした。 「瑞月?」 彼への気持ちを隠しておこうと思ったのは本当だ。矛盾していることは分かっているが、確かめたい気持ちの方が勝ってしまった。深呼吸を一つして、私は静かに諒に訊ねた。 「諒ちゃんが、元カレに言った言葉……」 「言葉?」 「昔からずっと……って言った、あれ」 「ん」 「あれって、何?」 私の腰に回されたままだった諒の手が、わずかにぴくりと動いた。 「……気になる?」 「気になるっていうか……」 私は膝の上に目を落とした。 「どうしてあんな風に言ったのかな、って思ったから。私を助けるつもりで言ったにしてはあまりにも真に迫っていて、びっくりしちゃったんだよ。そんなことあるはずないのに。私たちは幼馴染で恋人のふりをしているだけなのに。諒ちゃんが言ったことをうっかり信じてしまいそうになって、焦っちゃった」 言い終わってから、私はとってつけたようにあははと笑った。 今の聞き方なら、私の気持ちに気づいたりはしないよね――? 私はそっと顔を上げた。諒と目が合って、彼のキスをつい受け入れてしまったことが急に恥ずかしく思えてきた。あの夜のこともそうだけれど、簡単な女だと思われていたらどうしようという羞恥心で、いたたまれなくなる。諒から逃げたくなって、私は立ち上がろうとした。 「ごめんなさい。今のは忘れて。ねぇ、そろそろ帰ろうよ」 しかし諒は私を離さなかった。さらに深く私の腰に腕を回す。
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