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諒は苦笑した。
「どうしてそんなことを言うのか分からないな。自覚がないってのは困るんだけど……。他の男の目から隠したいと思うくらい、お前は十分すぎるほど綺麗で美人だし、これ以上ないほど色っぽいよ。俺はお前がいいの。ずっとずっと好きだった瑞月がいいんだよ」
諒はそう言って私にキスをした。
「本当に?」
「本当に」
諒が頷く。
言いたいことはたくさんあった。けれど、胸が詰まって何をどう言ったらいいのか言葉がまとまらない。だからその代わりに、私は彼の体に腕を回して、ぎゅっと抱き締めた。
諒はそんな私を抱き締め返し、耳元で言った。
「今夜このままお前んちに行っていい?」
「え、でも……」
「せっかく両思いだってことが分かったんだ。お前を抱きたい」
顔が一気に熱くなる。私はそれを隠すように諒の胸に顔を埋めた。
「言い方がストレートすぎる!」
諒はくすりと笑い、優しい声で続けた。
「だって嬉しいんだ。本当なら今すぐにでも、お前をめちゃくちゃ優しく愛したいくらいなんだから」
そう言いながら諒は私の耳に歯を立てる。
彼の吐息の熱に抗えなくて、私は小さく頷いた。
「来客用が空いていなかったら、車は近くのパーキングに止めることになるよ」
「問題ない。最初からそうするから」
「明日の仕事は大丈夫なの?」
「明日は少しゆっくり行っていいから、全然大丈夫だ。ーーだから、もう帰ろう」
車に戻った私たちは展望広場を後にした。
私のマンション近くまで来ると、諒は二十四時間営業の有料駐車場に車を入れた。そこはマンションからは目と鼻の先ほどしか離れていない。
車から降りた私たちは、互いの指を絡めて手を繋ぎ、寄り添って歩く。
「こんな繋ぎ方、子どもの頃は知らなかったよな」
「恋人繋ぎね」
私たちは顔を見合わせて笑った。
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