EP-18

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今夜の諒は私に言った通り、初めての夜とは比べ物にならないくらい、優しすぎるくらいに優しく私を抱いた。体の隅々まで愛されて、私の意識は幾度も溶けそうになった。それを引き戻すのは強く吸い付くようなキス。諒の愛撫に、私の甘い鳴き声と甘い吐息はやむことがなかった。 愛されることでこんなにも心が満たされるということを、初めて知った。そしてその逆も。私をひたすら愛し続けていてくれた諒のことが、胸が苦しくなるほど愛おしい。愛され愛した後の満足感と幸福感を抱きしめながら、私は諒の傍らにぴたりと寄り添っていた。 「なぁ、瑞月」 私の肩先を撫でながら諒が言った。 「この前も言ったけど、また学生の時みたいに、お前の料理、食べさせてくれないかな。この前数年ぶりに食べたら、やっぱりうまくてさ。だめ?」 「だめじゃないけど……」 「瑞月の手料理を食べたら、仕事ももっと頑張れると思うんだよな」 そんな風に言われたら、嫌だなどとは言えなくなる。むしろ嬉しくなって、作ってあげたくなってしまう。 「私でいいなら、全然かまわないよ。だけどどうしよう。この前みたいに連絡もらってから用意してもいいけど、ありあわせっぽくなっちゃうし……。例えば、諒ちゃんの休みの日なんかに、作って持っていってあげようか?」 「普段はそれでも全然いい。でもさ、俺の休みって、週末にもらえる時もあるんだ。その時はうちに来て作ってよ。材料費は前みたいに出すから」 暗に泊まって行ってほしいと言われているようで、愛し合った余韻もあってどきどきする。 「分かった。その時は買い物してから行くね」
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