EP-18

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「それは……」 私は目を泳がせた。諒に抱かれた夜からだとは言いたくなかった。だってそんなのはまるで、体から始まった関係みたいで恥ずかしすぎる。 しかし私の表情から察したのだろうか。諒は意地悪そうに口角を上げて笑った。 「もしかして、もしかしなくても、あの夜?」 「え……」 慌てる私に、諒がいたずらっぽい笑みを浮かべる。 「そんなによかった?」 「そういうこと聞かないで」 表情を見られたくなくて顔を手で覆う私の耳に、諒の嬉しそうな声が聞こえる。 「俺、賭けに勝ったってわけだな」 「賭け?」 私は手をよけて、諒を見上げた。 「あぁ。あの時、お前を抱くことで、お前に嫌われるか、それこそ俺を男として見てくれるようになるか、自分に賭けたんだよ。その結果がこれってことだろ。それに、きっかけなんかどうだっていい。お前はこうして俺の腕の中にいる。俺にとってはこの現実が何よりも大切なことだから」 諒は私の唇を塞いだ。 重ね合わせた唇がずれる度に、諒の手が私の体に優しく触れる度に、私の唇からは艶やかな吐息がもれた。体の芯がじわりと熱を持ち始めて脚の間が疼き出す。 「瑞月。お願いだからもう諦めて、黙って俺に愛されてくれよ」 諒は優しく囁くと、私の首筋に口づけた。 熱か涙か、それとも両方か。私は潤んだ目で、愛おしい幼馴染みを見つめる。その背中に腕を回し彼の耳に口づけて私はそっと言った。 「諒ちゃん、大好きよ」 この夜想いを通じ合わせた私たちは、偽物ではなく本物の恋人同士となった。
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