EP-2

9/9

866人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
諒は腕を組んで私を見下ろした。 「俺には言えない話か」 「言えないというか、私からは言いにくいというか」 「……分かった。じゃ、今度直接、高山に聞くことにする」 「うん。きっと、そうした方がいいと思う」 諒の言葉に私はほっとした。ほっとしたついでに、さっきからずっと気になっていたことを聞いてみたくなった。凜に対して、諒がどうしてあんなに不機嫌な態度を取っていたのかを。 凛ちゃんはヤキモチだなんて言っていたけど、本当はどうなんだろう―ー。 だけど、諒の顔にはその感情がまだ残っているように見えて、ストレートには聞きにくい。私はこう言ってみた。 「あのね、諒ちゃん。前にも言ったけど、凜ちゃんとも仲良くしてもらえたら、私、嬉しいんだけどなぁ……」 すると諒は、ふっと息をつき肩をすくめてみせた。 「それは分からないな。だって、あいつのこと、俺はまだよく知らないからな。今年から同じクラスになったばっかりだし」 「優しくていい人なんだよ」 唇を尖らせて訴える私に、諒は苦笑を見せた。 「瑞月の親戚なら、仲良くはしたいけどな」 二人の性格、合わないのかな……。 その時は残念に思ったのだけれど、それから割とすぐのことだった。凛と諒が友達になったらしいことを、それぞれの口から聞くことになったのは。 それからは、三人で会うことも増えた。気づけばいつの間にか、栞も一緒になって遊ぶ機会も多くなっていた。大好きな人たちが仲良くなったことは、私にはとても嬉しいことだった。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

866人が本棚に入れています
本棚に追加