EP-19

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EP-19

幼馴染の大好きなお兄ちゃんだった人が自分の恋人に――。 そう思うと、不思議な気分になった。ほんの少し照れ臭く思うことはあったけれど、諒と肌を合わせる度にそんな思いも薄れていった。今の諒は、私にとって確かに男の人であり、これまで以上に大切で愛おしく思う存在だった。 互いの休みが合うことは数少なかった。というよりも、やはり諒の方が断然忙しかった。 仕事を終えた諒が私の部屋にやって来て、一緒に夕食を取る。――それが私たちの普段のデートだった。その後には短いひととき肌を重ね合わせ、それから彼は自分の部屋へと帰って行った。いつも名残を惜しむような顔をして。 それは私も同じだった。彼が帰って行った後の部屋は、がらんとして寂しく感じられた。今まで一緒にいたのに、諒の姿が見えなくなってすぐにもう、彼のことが恋しくなった。 それでも、これまで一度だけ、月に一、二度くらいはもらえるという諒の週末の休みと、私の休みが重なったことがあった。その日は午前中のうちから会って映画を見に行ったり、買い物をしたりと外でのデートを楽しんだ。その後彼の部屋に行き、私が作る夕食を共にした。そして、そろそろ部屋に帰ろうかという雰囲気を漂わせ始めた私を、諒は抱きすくめて引き留めた。 「泊っていけよ」 諒の甘い囁きに私は抵抗できなかった。求められる幸せを感じながら諒に愛された後は、彼の腕の中で眠りについた。 私の携帯にはもう、将司からの電話もメッセージも入ることがなくなった。これで本当に終わったのだ、私を悩ますものはないのだと胸を撫で下ろした。これから先は、諒の愛に包まれて毎日を穏やかに幸せに過ごして行けるものと思っていた。 しかしそれは私の思い込みだった。
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