EP-20

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看護師が出ていき栞と二人になった時、誰かがドアをノックした。それを耳にして、栞が思い出したように言った。 「そうだ、凜ちゃん!待ってもらってたんだ」 栞は椅子から立ち上がってドアを開けた。 凛がそうっと顔を覗かせ、私の顔を見るなり顔をくしゃくしゃにした。 「瑞月ちゃん!もうっ、一番目の緊急連絡先の番号になってるからって言って、あなたの会社から連絡が来た時には心臓が止まるかと思ったわ!大丈夫なの?ちゃんと私のこと、分かる?」 「分かるよ、ちゃんと。凜ちゃん、ごめんね、心配かけて……。あのね、頭の方は大丈夫みたいだって。ただ念のため、少し入院しなさいって言われたの」 「そうなのね。おばさんにも連絡しておいたからね。間もなく着く頃じゃないかしら」 「やっぱり、連絡したんだね……」 「当たり前でしょ!」 凛が呆れた顔をした時、ガラリとドアが開いて母が姿を見せた。 「瑞月!」 母は今にも泣き出しそうな顔をしていた。 「お母さん……」 「大丈夫なの?いったいどうしてこんなことに……」 私は小声で謝った。 「心配かけてごめんなさい……」 「本当よ。こんなことになるんなら、家から離すんじゃなかったわ。凜ちゃんと栞ちゃんにも迷惑かけて。二人ともごめんなさいね。本当にありがとう」 母に頭を下げられて、栞と凜は困ったように顔を見合わせる。 栞が母の気持ちをなだめるように口を開いた。 「あたしたちは姉妹みたいなものだもの、そんな水臭いこと言わないでよ。それにね、ここはお兄ちゃんがいる病院なの。だからってわけじゃないけど、少しは安心してよ。ね?」 「そうだよ。うちらには遠慮なんかしないで、いくらでも頼ってくれていいから」
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