EP-諒✽1

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EP-諒✽1

高校の合格祝いに――。 そう言って瑞月が作ってくれたクッキーは、確かに少しいびつな形のものもあった。けれど、サクサクとした歯触りがよく、甘すぎなくてうまかった。聞けば、いとこに手伝ってもらったのだと言う。 これまで会ったことはなかったが、瑞月にいとこがいることは知っていた。うちに来て遊んでいても、これから彼女が来るという時は、いつも嬉しそうな顔をして家に帰って行った。そんな瑞月を見ては、二人はずいぶんと仲がいいんだなと思っていた。 いつだったか。そのいとこが、栞にもおそろいで作ってくれたのだと言って、瑞月がビーズ細工のブレスレットを見せてくれたことがあった。お菓子を作ったりアクセサリーを作ったりと、ずいぶん家庭的で器用な女の子だなと俺は感心していた。一人っ子の瑞月にとって、彼女は姉のような存在なのだろうと思っていた。 その人と俺が同い年だということを知ったのは、彼女が俺と同じ高校に入学したことを、瑞月から聞いた時だ。特に彼女に関心があったわけではなかったから、そうなんだ、としか思わなかった。 しかし瑞月は言う。 「二人が仲良くなってくれたら嬉しいな」 瑞月は、ただ単純にそう思っただけに決まっている。その言葉に何ら含みがないこともよく分かっていた。けれど、胸の奥にもやもやした感情が広がった。 瑞月は、俺と自分のいとこを引き合わせることに、何の抵抗も心配もないのか――。 そう思ったら、ひどくイライラした。
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